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泉美木蘭
2016.10.7 04:51

「承詔必謹にあらず」の日本会議と神政連

朝日新聞に「生前退位 揺れる対応」という見出しがありました。
読んでみると、そもそも退位に反対の男系派「日本会議」と「神政連」
(神道政治連盟)それぞれの狼狽ぶりと、
安倍内閣の閣僚たちがどちらの会に所属しているのかが紹介されて
いた(ほとんどの人間が両方に所属している)のですが、
記事を通してつまりなにを言いたいのかがよくわかりませんでした。

日本会議も神政連も、7月のNHKのスクープの段階では「陛下が退位

したいとおっしゃるはずがない」と言って、「摂政摂政」と叫んでいたもの
だから、黙るしかなくなってしまったのでしょう。
とりあえずは、安倍首相の“おコトバ”を踏襲して、「まずは有識者会議の
様子を見守る」ようです。

そもそも両団体とも退位に反対で、陛下からのお言葉を受けても考えを
撤回せずに
黙っているのだから、「我々は承詔必謹にあらず」と言って
いるも
同然です。
だったら堂々とそう宣言して、逆賊としての反旗でも翻せばどうでしょう?

日本会議は「退位を容認する方向で調整が進んでいる」とのことですが、
すでに陛下がお言葉を発せられているのに、「退位を容認する方向」って、
一体何様ですか? 
日本会議は天皇陛下よりもそんなに偉いのですか?

神社本庁も「見解をまとめる予定だが、しばらくは政府の検討を見守る

方針」なのだそうです。
神社なのだから、祭祀の最前線にいる立場として、天皇陛下のお言葉は
もっとも真剣に受け止めるものだと思っていたのに、
どうして“政府の検討”
を見守ってからでないと見解のひとつも出せないのか、まったく意味が
わかりません。

朝日新聞も、「退位には反対」「一代限りの特別法か、それとも恒久的な
退位の制度か」という両団体の論点を整理するのはいいけど、そもそも
「退位」はつまり「即位」とセットです。
もっと、将来を見据えた視点が必要な問題であるはずです。
男系派のタコツボの中の動揺だけを報せても、もうあまり意義はなくて、
もっと皇室の未来を見通した見解を報じて欲しいなあと感じます。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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